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【尾形】うちの庭が明治の北海道につながってる件【金カム】

第6章 月島軍曹2



「……日光に当てたら浄化されないかなあ」

 私は慰問袋を指でつまみ、てとてとと縁側に出た。
 祟られたら怖いので、個人的にマイブームな『コア○のマーチ』を何袋か入れておく。

 手紙を入れようか迷ったが、こういう現象と会話しちゃダメって言うし。
 なので、また名前のみのカードを入れておいた。

 そして初めて、縁側から庭を見た。

「すごい広い庭……」

 広々とした庭と、そこを吹くやわらかい風。
 背後には山林。
 単なる古民家の庭だけど、どこか神々しい感じがした。

「でもちょっと気持ち悪いかも」

 一瞬、何か生臭いものも感じたが、それはすぐに消えた。

 私は日当たりの良いところに慰問袋を置き、『南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏』と、それらしく手を合わせといた。

 翌日、また慰問袋の中身は無くなってた。
 そしてハガキが入っていた。

『梢さん、またあなたの慰問袋を受け取れたことを不思議に、嬉しく思っています』

 あー、うん……?

『素晴らしいお菓子を本当にありがとう。
 菓子一つ一つに可愛らしい絵を描いてくれる心遣いに感じ入っております』

 何言ってんだ、この人。
 コ○ラのマーチが一つ一つ手書きだったら、メーカーが滅ぶわ。

『皆に配ると、まず誰もが笑いながら動物の表情を楽しみ、次にその味に目を見開き、どうかもう一つと拝んでくる次第です』

 ……そこまで、かなあ? そら美味しいけどさ。
『日本のお菓子に対する外国人の反応』でも読んでる気分だ。
 
『またあなたの慰問袋を受け取れるでしょうか。
 そんな奇跡が起こるのなら、梢さんのことをもっと知りたく思います』

 手紙から顔を上げ、首を傾げる。
 これはどこかのご老人がやってる『ごっこ遊び』なのか?
 けど庭の足跡とか確認したが、誰か来た形跡は無かった。

 この古民家は不吉な噂が多く、隔絶された場所にある。

 わざわざ、こんな面倒なイタズラをしにくる人がいるのか?

 ――もしかして超常現象というやつなんだろうか。

 前に見た映画で、こういうの無かったけか。
 郵便ポストが何年か前の世界とつながっていて、主人公は見知らぬ誰かと文通し、最終的に恋に落ちるという――。

「いやいやいやいや。ないないないない!!」

 現実的な私は即、否定したのであった。

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