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私の本丸

第19章 眠り主とうぐいす




~ * 燭台切光忠目線 * ~


燭台切「主、昼餉の支度が出来たんだけど…と、寝ていたんだね」


こんなに無防備に…此れは何かな、僕…試されてる?
試すと言っても…一体どっちなんだろうか。
迫れって事?それとも迫ってはいけない方なのかい?


燭台切「ふう…君も罪作りだね。良いよ、君に翻弄されてあげるさ」


彼女を組み敷く様に床に手をつき、見下ろす。
見れば見る程、その存在の愛おしさに胸が締め付けられる。
自分達、刀剣男士の身を案ずるあまりに涙を流す君。


燭台切「あの時聞こえた言葉、忘れていないよ…僕の心は清いんだろう?だから、今は此れだけで…」


その柔らかな頬にそっと口付けを落とし、審神者部屋を後にした。


~ * 宗三左文字目線 * ~


審神者部屋から出て来る男を見掛けた。
彼も今朝来たばかりという、刀剣男士。
しかし、彼はあの主に顕現された紛う事無き、あの主の刀。
僕といえば、あのブラックと化した本丸に居た…謂わば穢れた存在。
あの女の指の感触が、この肌に染み込んでいる。
自分で自分が嫌になりますね…。


宗三「失礼…します」


見れば主に着乱れは無く、気持ち良さそうに寝息を立てていた。


宗三「僕達を家族だなんて、貴女はどれだけ変わり者なんですか」


自嘲気味に笑う。
この主は変わり者です。
今朝、口付けを交わした唇が…甘く熱を帯びる。


宗三「僕は貴女が…いえ、やめておきましょう」


好意を口にしても、意味なんて無い。
今はただ、この安らかな眠りがただ覚めぬ様にと願い…そっと彼女の唇に口付けた。


宗三「……っ!」


全く、僕は何をやっているのでしょうか。
寝込みを襲うだなんて、質が悪過ぎる。
冷静な心と反し赤くなる頬を隠し、急いで部屋へと戻った。

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