第7章 天使といっしょ
冷蔵庫を開けた蛍丸が指差していたのは、一般家庭でよく見る普通の白い鶏卵。
白くて丸くて小さい。目の前に居る蛍丸と重なり、あの卵すら可愛く見えた。
そう考えてしまったのは…内緒にしておこう。
主「それは卵っていうんだよ、鶏のね」
蛍丸「たまご?俺、これ食べてみたい」
主「よーし。じゃあ、ゆで卵を作って和風オムライスにしてみよっか?」
蛍丸「おむらいす?食べるー」
両手を挙げてぴょこんと飛び跳ねる蛍丸に、暫し悶絶。
ごめん亀甲、ごめん加州…この子は天使だ。
勿論二人の事も同じくらい大好きだけど、可愛過ぎてもう…うん、可愛過ぎる。
主「よーし、じゃあ作っちゃおう!」
蛍丸「おー」
卵を茹で、半熟の状態で火を止める。蛍丸が器用に殻を剥いてくれて、ゆで卵を入れると可愛いクマの形になるという便利グッズに嵌め込んで水に浸ける。
鍋に酒と味醂と醤油と少量の味噌、鰹節を入れ水溶き片栗粉でとろみをつけて餡を作った。
昨日の残りのご飯としらすを醤油と鰹節粉で軽く炒め、皿に型から出したゆで卵を置き、ゆで卵の横に炒めたご飯を盛る。
フライパンに溶いた卵を熱し、とろとろに焼き上げたらゆで卵の動物の布団の様に持ったご飯の上に乗せる。
最後にゆで卵に掛からないように、餡を掛けたら出来上がり!
どんなもんだい!とばかりに、蛍丸に見せた。
主「ほたるんが作ってくれたクマさんだよっ」
蛍丸「……!!」
キラキラと目を輝かせている蛍丸を見れば、正直料理のし甲斐がある。
蛍丸「これ、向こうに運ぶの?」
大きな御盆に全ての皿とスプーンとお茶、湯呑みを乗せたところで不意に蛍丸から問い掛けられた。