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[イケメン戦国]恋唄*いろはで紡ぐ恋と蜜*

第3章 桜が秘めた恋心 [家康] 前編


***
ー次の日


「次はこの薬草を整理して……」

朝、家康に言われた通り、薬品の整理や個数の確認などの仕事をこなしていく。

まだ敵方と衝突はしていないため、怪我人はいない。それでも、満全の準備を整えるためやることはたくさんあった。

もう、辺りは暗くなり始めている。家康は少し前に家臣の人に呼ばれて何処かに行ってしまった。昨日は心地よかったはずのこの静けさが今は少し不気味に感じる。

(家康、早く戻ってこないかな……)

そう思いながら、残りの仕事を片付けていく。

「あとは……お水だよね。」

水を汲みに行こうと外に出る。湖に浮かぶ月は昨日と変わらず曇りのない光を湛えている。

(綺麗……)

静かな水面に魅入っていたその時。



ぐいっ

「ーっっっ……!」

後ろから誰かに腕を引かれ口を塞がれる。

そのまま近くの茂みの中へ引っ張られ倒れこんだ。

ガサガサッ……ドンッ

そのまま地面へ叩きつけられる。

暗くて何も見えない。顔を上げれば数人の男達。

あまりに突然のことで声も出ない。




その瞬間喉元にひやりとしたものがあたる。



(……刀っっ!)


私に切っ先を向けた男は不気味に笑う。


「織田のものだな?答えろ、信長は今どこにいる。」




答えなければ殺す。

そう言いたげな鋭い眼は刀のように私を貫く。

明らかに織田の人じゃない。おそらく……敵方の偵察兵。

恐怖と焦りで頭が混乱する。でも、ここで信長様の居場所を答えるわけにはいかない。私が答えれば信長様の身を危険に晒すことになる。そんなこと……

「っっ……」

反抗の意思を持ってその鋭い瞳を睨み返す。

「そうか、ならば……」

喉元にあった切っ先が頭上へと振り上げられる。

「いやっ……!!」

とっさに浮かんだのは家康の顔。声にならない助けを家康に求める。

(お願い……!!)


「覚悟……!!」


*・°*桜が秘めた恋心 後半へ*・°*
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