第19章 桜花爛漫、恋情ハ蜜ニ[光秀]
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于時初春令月、気淑風和。
梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香。
時に、初春の令月にして、気淑く風和らぐ。
梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫らす。
今のごと 恋しく君が 思ほえば
いかにかもせむ するすべのなさ
泣いてはいけない
追ってはいけない
そう知りながらも
今、貴方の手を離したこの瞬間でさえ
この寒きの中に見せた麗らかなあの陽だまりを
求めてしまう。
ただ待つことが、これほどまでに心焦るものかと
貴方に会って初めて知ったのです。
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*檸檬視点*