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氷華血鎖【鳴門】

第2章 零部・序説


一族を滅ぼし里を抜け、この組織に入って二年は経っただろうか。定期的にある会合で聞き覚えのある名前が話題に出た。何処で聞いた名だったか思考を巡らせながら話に耳を傾ける。



「あの餓鬼見つかったのか?」

「また失敗するんじゃないかしら………二年前の様に」



二年前。その言葉を聞いて思い出す。
丁度、俺が里抜けする前のビンゴブックに載ってた名前だ。とても幼い子供だった気がする。島一つを海に沈めたS級犯罪者だったか。あんな子供が何故、本当にそんな力があったのかと疑問に思っていた。
メンバーの話によると二年前に勧誘しようとして失敗したとか。これだけの凶悪なメンバーが失敗とはどう言う事だろう。



「無様に皆ボロボロにやられて生死の境を彷徨ったにも関わらず目が覚めたら傷口が跡形も無く消えてた…屈辱的な負け方だ」

「…幻術か?」

「いや、あの三途の川は本物だ」



二年前に勧誘しに行ったのは大蛇丸、サソリ、角都。血の気の多い力ずくタイプだから話し合いと言うものをせず拐おうとして返り討ちにあったのが目に見える。



「二人共手荒いから、あぁなったのよ」

「あ゙ぁ!?テメェだって実験体に欲しいとかどうの言ってたろうが!」

「やめろ」

「「………」」

「今回向かうのは俺、小南、十蔵、イタチの四名だ」

一同「!」



場所は鉄の国。三狼と呼ばれる三つの山からなる国で気候は激しい猛吹雪が荒れる寒冷地。忍とは別の侍と呼ばれる者達が国を守っている…らしい。らしいと言うのも実際に行った事は無いし知識程度でしか知らない。



「四人も行く必要あるのか?」

「別の組織も狙ってるとの情報があるから保険よ」

「瞳術使いが二人、ね…」

「?」

「気を付けてね。あの子、多分稀少な血継限界だから」



多分、と言うのは確証が無いのだろう。





※※※





ザクザクと音を立てて沈む雪の地を歩く。この二年この国が暖かい太陽に照らされたところは見たことが無い。雪の降ってない一瞬の晴れ間と呼ばれてる空は鼠色の重たい雲が覆い、遥か彼方で陽の光が射してるのを見れるのが、この国の晴れ。
争いの耐えないこの世界で独自の思想を持った中立国。忍と言う者は存在しなく変わりに侍と言う者が存在する国。



『………』



この国に来て二年くらいだろうか。
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