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氷華血鎖【鳴門】

第5章 零部・暁


心底、不安だった。泣いてたらどうしよう、とか子供の泣き声なんて慣れてない人からすると煩くて仕方無いだろうし…その煩さに苛ついて弟妹達を殺されてたらとか考えると気が気でない。
なんたって血も涙もない様な犯罪者集団だし。でも…中には人間味がある人も居るのは昨晩良く分かった。だから弟妹を託したんだけども。



「わー!すごい!さそりのおじちゃん、おにんぎょうさんうごかすのじょーずー!」

「かくずおじいちゃんたかーい!すごーい!」



-きゃっきゃっ-



『これは…一体…』

「………さぁ?」



アジトに案内してもらって到着したらまぁ…良い意味でアタシの不安を裏切ってくれた。こんな凶悪な犯罪者集団が子供達と戯れてるとか誰が想像出来ただろうか。弟妹達も物凄く楽しそうだし。しかも現在、弟妹達と戯れてるのは二年前にボッコボコにした人達。いやまぁちゃんと治療はさせていただきましたけども。



「ようこそ、暁のアジトへ」

『あ…はぁ…』

「「あ!ねぇね!!」」

一同「!」



無邪気に駆け寄ってくる弟妹を抱えるといくつかの殺気が向けられる。その殺気を受け流して弟妹を抱えながら深く頭を下げた。





※※※





「あら?これだけの殺気を向けられても殺る気は無いって事かしら?」

『………』



余計な言葉を発する大蛇丸を一瞥する藤色の眼。その緊張感を感じ取ったのか幼児達は不安そうに姉を見上げた。



「ねぇね…ここがあたらしいおうち?」

「ねぇね、けんか…や…」

『マツ、トシ』

「「…?」」



-ふっ…-



と、力無く眠る幼児達。術をかけて眠らせたのか…でも両手は抱えて塞がってるから印を結べはしない…と言う事は…瞳術なのか?しかしその藤色の眼に変化は見えない。



『弟妹の前で野暮な話はやめて』

「貴女に屈辱的な負け方をした私達は本気よ?」

「やめろ大蛇丸。さっきリーダーにも言われただろ」

「分かってるわよ。ちょっとからかっただけ…まぁ流されちゃったけど」



観念した様に肩を竦めると剥き出しになった岩に背を預ける。



『で?アタシは何をすればいいんですか?弟妹を見てもらった御礼はきっちりさせていただきます』

「我々に加担しろとは言わない」

『………』

「協力者になってもらいたいだけだ」

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