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氷華血鎖【鳴門】

第30章 一部・帰村


おかしい。あのくらいで倒れるチヅだっただろうか。心無しかそんなに顔色も良さそうには見えないし。



「………少々、一悶着あったみたいですね…」

「え?」



ぽつりと鬼鮫のあんちゃんが発した言葉が聞き取れなくて鬼鮫のあんちゃんを見ると少し険しい顔付きをしていた。



「あれ…?姉上…」

「姉様…疲れてる?」

『あー…うん、ちょっとだけね』



チヅが疲れてるって凄く珍しいんだが…何かあったのだろうか。





※※※





「此処に来た時以上にお疲れの様ですが…何があったんです?」

「………」



小声で耳打ちする鬼鮫を横目で見て双子に手を引かれるチヅルの後ろ姿に視線を戻す。



「戦闘になった」

「チヅルさんのご兄弟とですか?」

「…あぁ」

「随分と手強かった様ですね」



確かに手強かった。血継限界と言うだけで大変なのに緻密に計算され尽くした対策。あそこまで苦戦を強いられたのも激しい戦闘も、ここ数年の中じゃダントツだったと思う。



「チヅルの方が重傷だ。なのにまだやる事があると聞かない」

「………大変だったみたいですが…良い方向に進展はなさった様ですね」

「…何が言いたい」

「いえ。マツ、トシ」

「「?」」



鬼鮫が双子を呼ぶと立ち止まって不思議そうな顔で此方を見る。



「どうでしょう?夕飯の狩りに行きませんか?」

「「行くー!」」



元気良く返事をする双子。何があったはこっちが聞きたい。鬼鮫はいつの間にこんなに双子と仲良くなったのだ。



「姉上待ってて!美味しいの獲って来る!」

「後で一緒にお料理しよう!」

『………うん、分かった。楽しみにしてる』



そう言って双子の頭を撫でると鬼鮫が双子を引き連れて森の方へ歩いて行く。その様子を見送ってチヅルに近付くと嬉しそうな…でも何処か寂しそうな笑みを浮かべていた。



『最近、村を留守にする事が多いから凄く分かる。子供の成長って早いね』

「…そうだな」

『じゃあ今のうちに薬の調合とイタチさんの診察を済ませよう』

「分かった」





















→to be continued.
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