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先生とわたしの恋物語

第7章 旅行


「健斗さん、どうしました?」

「さっきの……言葉…あれ、真面目に言ったのか?」

なんだろうか。キャアキャアしか言ってなかったが。

「なんでしたっけ?」

「市川が、……俺を…」

そこまで言って、田中先生はマップを大きく広げて、頭の部分にまで上げた。影ができた。

「田中先生?」

私が喋ろうとした唇は
先生の口で塞がれる。

「……ん…」

先生!?

わたしが目をびっくりさせても、田中先生はキスをやめない。

長いキスのあと、唇を離した先生は
目を細めて、笑った。

「すっげー嬉しかった。サンキュな」

3割増しの笑みで
優しげな表情を浮かべて笑った。
頭を撫でた先生は立ち上がる。

「おまえが提案するアトラクションは、ぜんぶ却下だ。なんだこれ、全部心臓破りじゃねーか。なしなし」

田中先生はマップを畳んで歩き出す。周りにいた人は振り返る。黄色い吐息が小さく聞こえる。

「せ、じゃなかった…!健斗さん…!!待ってくださいよ!」

腰が抜けるかと思った。わたしはいま、絶対顔が赤いし、困った顔してる。

「もう、待ってください」

でも、わたしが手を伸ばすと、当たり前のように、掴みやすいように腕を広げてくれる。

凄く顔が緩んでる。掴んだ腕が凄く嬉しい。ニタニタしちゃう。

「せ、じゃなかった。健斗さん」

「なんだよ」

「好きです。好き。大好き」

「そういう可愛いことは、やってるときに言え。飯食おうぜ。腹減ったわ」

な。

「はい」なんて言えないし。
でも、凄く嬉しくて、顔が笑っていた。

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