• テキストサイズ

先生とわたしの恋物語

第5章 奴隷として


「ここに座れよ」


ポンポンと田中先生は自分の太ももを軽く叩いた。

「………………え?」


相当な間を置いてから返事をして顔を傾けた。なに?……なに??


「じょ、冗談抜きで聞いてるんですよ。 あ、ほらお掃除とか、お片づけとか……なんか、採点手伝うとか!」

目が泳ぐ。わたしは必死に仕事を探した。なにを言い出すかと思えば、……意味がわからない。

「あ、じゃ、じゃあ、本棚の整理をしますね」と言った腕は掴まれる。

「市川。なに恥ずかしがってんだよ、ほら来いって」

グイッと、腕を引っ張って転けそうになった。椅子に座る田中先生の体に触れる。顔が間近にあって、先生がいつも愛用する、香水の甘い匂いが広がった。


「せ、先生……ごめんなさい」

「座れよ。恥ずかしがらないで」



「む、無理です! ど、どうして先生のひざの上に…乗らなきゃならないんですか??」

はにかんで言った。
もうやだ、顔が真っ赤だ。



「お前……忘れたのか? 俺の奴隷だろ?言うこと聞かねぇとダメだよなあ?」

先生がわたしを、間近で見つめる。

「う…。…そ、それは……」

「ほら、座れよ」


私の腰に触れる田中先生の手。なんで? どうしてこんなことに……?

「す、すぐ離れますから!」

「ほら、はーやーく」

「……わ、わかりました…」

わたしは先生のひざの上に、手をつき、肩に抱きついて、向かい合うように座った。先生がぎゅうと背中に手を回す。

足を開いて重なる姿は、
騎乗位の体勢だ。

「ふ、……かわいい顔だな」

近くで見つめる先生はからかう顔で笑う。わたしは顔が熱くて視線を横にずらした。

恥ずかしくて
でも、

触れれるのは嬉しくて
でも、歯がゆくて

へんな気持ちだ。

/ 96ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp