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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第28章 厄介物




「・・・さん」

なんだろう。

「#NAME#・・・ん」

誰か呼んでる・・・?

「ひなたさん・・・」

もう少し・・・寝かせてほしいのに。


「ひなたさん!」


「・・・!」

その声でようやく寝ぼけていた頭を起こした。

「おはようございます。今日は寝坊ですか?」
「・・・沖矢、さん・・・?」

どうして彼がこの部屋に?
それよりも、寝坊とは・・・。

そこまで思考が進んだところでまだ頭が寝ぼけていた事を確信する。慌てて体を起こして時計を確認すると、朝八時を回っていて。

最近は朝六時に起きる生活をしていた為、この時間は完全に寝過ぎた。

そう思うと同時に、何故か目の前が回るような感覚に襲われて。その自覚が出てきた直後、強い頭痛も感じられた。

「・・・っ」
「ひなたさん・・・?」

思わず頭を抑えて痛みに耐えるが、それはかなり酷いものだった。そしてどこか寒気もする。
その割には体は熱くて。

・・・もしかしてこれは。

「失礼します」

断りと共に沖矢さんの大きな手が額について。
彼も私と考えたことは同じようだ。

「熱がありますね、薬を飲んだ方が良いです。何か食べられそうですか?」
「・・・分かりません」

適当に答えたのではなく、それは本音で。幸い喉はやられていないようだが、頭痛が酷く、思考能力が鈍っている。

食べられるかどうかの判断さえ、的確には出来なくなっていた。

「とりあえず何か準備してきます。それまで大人しく寝ていてください」

頭を支えられながら、沖矢さんに体を倒されて。さっき起きられた力が嘘のように、今は全身に力が入らない。

昨日まであんなに嫌悪感を抱いていた沖矢さんが、少しだけ頼もしく見えて。

元々はそうだ。彼を少なからず信頼していたのに。
今も信頼していない訳ではないけど。

あんなことをされたり、言われるまではもう少しマシだった。

倒された体に優しく布団をかけられ、何も言わずに部屋を出ていく沖矢さんには、どこか不安を覚えた。

心のどこかでは、彼を信頼しきっていたのかもしれない。
だから裏切られたような気になって。

私が透さんを裏切ったような感覚と同じく、沖矢さんには裏切られた感覚だったということか。



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