• テキストサイズ

【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第117章 安室3




「・・・今日は友人を待たせているので。お邪魔する時はハンバーグ、作ってください」
「ええ、勿論」

ああ、やはり。
コナンくんと約束などしていなかった。

あの場で逃れる為の嘘だった為か、すぐに忘れてしまったのだろう。

それに気付かないフリをするのもたまには良いか、と敢えて口にはせず、ただ笑顔を彼女に向けて返事をした。

「・・・ところで、どうしてここへ?」

流石にここまで着けてきた事実は疑問に思ったのか、彼女はようやくその事について尋ねてきて。

視線では出て行ってほしいと訴えてきているが、もう少し警戒心を煽ってからでなければ、こちらも帰るに帰れない。

「ひなたさんのその姿を、最後に近くで見ておこうかと思いまして」

バーボンとしてのスイッチを入れると、完璧に作られた笑みを向けて。

「でも、出来れば今度からは、僕に一言相談がほしいですね」
「・・・っ!」

彼女の足を撫で上げるように、そっと指を這わせた。

ピクリと反応を示す彼女への罪悪感と共に、僕が言える言葉ではないのにと心を冷ました。

「と・・・透さん!」

周りに人などいないが。
ひなたさんは声を潜めて僕の名前を呼んだ。

呼ばれ慣れたはずなのに。
彼女にその名で呼ばれるのは、未だに体が反発する。

僕の手を掴み、押して僕の体を離そうとする彼女に、バーボンとしての自分が情けなくも崩れそうになって。

「冗談です」

彼女から手をパッと離し、両手を顔の横に広げてみせた。

「・・・意地悪な透さんは嫌いです」

その言葉は本心、ではないはずだが。

「それは困りましたね」

何故こうも、全身が痛むのか。

余裕そうに笑ってみてはいるが。
後悔や罪悪が酷く体を蝕む。

自業自得なのに。

全て、僕のやり方のせいなのに。




/ 1935ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp