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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第116章 安室2※




「僕といるのに考え事なんて、ひなたさんは余裕があるんですね・・・っ」
「あぁっ!ん・・・ぅあ、ちが・・・っ!!」

彼女が何を考えていたのかを、考えたくなくて。
もう一度、自分の思考を止める為に彼女を突き上げた。

・・・あの満たされたような表情が、本物だったら。
そんな夢物語を、考えるなんてらしくない上に現実味がない。

彼女のそれはもう、偽物になっているんだ。

「すき・・・で、す・・・っ」

そう、自分で言い聞かせていたのに。

僕の肩に顔を埋めながら、か細い声で彼女がそんな事を呟くから。

・・・誤解、してしまう。

「・・・僕もですよ」

彼女の言葉が例え偽物でも。
僕の言葉は本物だ。

彼女には僕のような人間は相応しくなく、もっと相応な人間がいるはずで。

・・・そんなこと、考えたくもない上に攫われたくはないが。

ひなたさんからの言葉を聞けば聞く程、強気にも弱気にもなってしまう。

僕はこんなか弱い女性1人を守りきることもできないのか、と僅かに体を離して彼女の顔を見れば。

そこには先程よりも涙を目に浮かべ、幾つかそれを零した顔が僕の目に飛び込んできて。

「どうして泣くんですか」
「え・・・」

・・・嫌だった、だろうか。
バーボンとして触れられ、体を重ねることが。

それとも、体に負担を掛けすぎただろうか。
はたまた、言葉選びを間違えてしまったか。

ボロボロと涙を流す彼女の頬に手を触れさせると、小さく首を傾げてみせた。

「・・・すみません」
「謝らないでください。痛かったですか?」

当たり障りのない所から尋ねてみたが、ひなたさんは首を横に振って否定をした。

ああ、やはり。
感情を押し殺し、僕と重なることが・・・。

「・・・嬉しかっただけです」

嫌、だった。
という予想は、跳ね除けられて。

・・・ひなたさんの目は嘘をついているようには見えない。

もしくは、そう思いたいから、そう見えているのかもしれない。

いずれにせよ、僕の中では複雑な感情しか生まれることはなく。

「・・・そう、ですか」

どうにか笑みを浮かべ、そんな返事以外に、何もできなかった。




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