• テキストサイズ

【BLEACH】Breath In Me【原作沿い女主】

第2章 A girl




 黒い髪は直毛でさらさらしていて、小顔で垂れ目で大層な美人だ。体つきもほっそりしていながらなかなかの魅惑的なラインを描いているし、黙って大人しくしていればあっという間に男どもが寄り集まってくるだろう。


 深窓の令嬢という言葉がぴったりな淑やかな美貌はしかし、運動部の男子にすら引けを取らない男勝りな性格のせいですべて台無しになっている。おかげで男子人気は思わしくないが、女子人気は凄まじく熱狂的なのだとか。


 まあ、悪いヤツではない。友人として付き合うにはそれで十分だ。


「あー、今日マジで暑い死ぬわ。どっちかさぁ、お茶持ってない? 今日忘れちゃったからさ、ちょっと分けて」


 自分の席にどっかと座り、スカートの端を掴んでばたばたと風を起こしている様は、やっぱりがさつというほかない。


「あ、俺持ってきてるぜ! ……え、でもちょっと待って、これ伊吹が飲んじゃうと間接キ」


 だごん、と鈍い音がしたが、あれは打撲音か。悪ノリする啓吾は正直ウザいし俺も軽くあしらうことはあるが、それにしたって伊吹の応酬は酷い。残酷とすら言える。何せ、こいつは2年生ながら、空座第一高等学校剣道部の最強剣士で、その運動能力はいつきにも引けを取らないのだから。


「なぁにが間接キスだ、ボケ。口つけて飲むわけないだろ。何を期待してんだお前は」
「す、すんませ……」


 床に這い蹲りつつ謝る啓吾の声は、痛みをこらえていかにも苦しげだ。


 まったく容赦ねえな、と他人事のように思いつつそちらを見やる。汗の滲んだ顔に髪の毛を貼り付かせて笑う様は、まさに華の高校生と言うにふさわしい光景だ。


 と、次の瞬間、伊吹の大きな瞳がくるりとこちらを向いて、目が合った。

/ 13ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp