第6章 終
「ねぇ、わたしは幸せになれないんだよわかった?」
靄のかかった世界で、ウェーブのかかった黒髪の女の子がわたしに問う。
わたしは首を振る。
「幸せだったよ。生まれ変わったら愛し合うって誓ったから」
彼女の顔が幸せそうに微笑む。
「そう、よかったわね。……次はもう、邪魔しないから」
彼女は切なそうに微笑む。
「別に、居てもいいよ。あなたが居ても、わたしたちは幸せになれるから」
わたしは言う。
「そう…」
彼女は言う。
「あの時、靄のかかった世界でわたしに問いかけてくれた子はあなただったのね」
ありがとう。
「別に…」
彼女の甘い香りが鼻腔をくすぐった。
その匂いはどこか毎日匂うような甘い香りだった。
「別に…、あなたはわたしだし」