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夢繰り屋 凛 第六章

第7章 帰り道。


私の前を歩く浩二君の
背中を見つめていた。

風に乗って、浩二君の匂いがした。

その匂いに、靴箱で抱きしめられた事を思いだしていた。
胸がきゅ~って切なくなって、

「…好き…。」

思わず言葉が出てしまった。

「ん?なんかゆうた?」

浩二君が振り返った。

…ぎゃあ~!!
心の声が!!ダダ漏れしてるやん。
重症や!!私!!

「な!!なんもないよ。」

あたふたと取り繕う私にお構いなしで、

「あっ…そうや…。」

浩二君が…一歩、二歩…私に近づいた。

顔が…浩二君の顔が、唇が…
私の顔の横をかすめて…私の肩に顎を乗せた。

「俺も授業料は、体で払ってもらうわな。」

耳元で囁かれたその声は、
私の体の全機能を停止させた。

同じ言葉なのに…この破壊力。

みるみる顔が真っ赤になり、
心臓がドキドキし過ぎて…痛かった。

「…どういう…意味…?」

上手く息も出来ない…。
酸欠気味に聞き返した私に、
浩二君はいつものように笑いながら、

「そういう意味。」

そう言って…体を離して、
また歩き出した。

…え??ほんまに??
そういう意味なん??

…え??どういう意味??

頭は…パニックに陥っていた。

…って言うか、浩二君!!
図書館での翔太君との会話…
どこから聞いてたんよ!!

「何してるん。はよ来いよ。」

そう言って浩二君は手を出した。
私は、ドキドキとうるさい胸を押さえて、
無言で浩二君の手を取った。

浩二君…貴方の気持ちが知りたいよ。

今日の不機嫌は、ヤキモチ?
そう思っててもいい?

無言の背中を見つめながら…
告白の決意を固めていた。

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