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最愛 【黒子のバスケ】

第8章 それぞれの場所


side緑間

経営者として忙しい日々を送っていることは承知の上だったが、急いでさっきのことを話したかった。

火神との電話を終えてすぐにでもと思っていたけれど、時間が許さずこの時間になってしまったが、みさきは今は北海道にいることが分かっていたから焦りはなかった。

数回のコールの後、何をしても敵わなかった旧友が電話口に出た。

「やぁ。こんな時間にどうしたんだ?」

「夜分にすまない。急ぎで伝えておきたいことがあるのだよ」

「聞こうか」

「俺たちの結婚式にいた黒須みさきを覚えてるか?」

「当然だよ。青峰がずっと彼女を見ていたからおそらくそのうちくっつくだろうと思っているが」

「それはそうなんだが…今日はその黒須みさきの件でお願いがあるのだよ」

「うちでできることなら手配しよう」

みさきは過去に恐怖を味わった出来事があり、うちの病院の患者であり、妹のような存在である事。
そして、今回桃井たちとの共同事業の中で、ある人物に同じような恐怖を感じて火神に連絡があった事などを話した。

「それで?うちとして彼女に何をしてあげられる?」

「みさきのスマホにGPSをダウンロードさせるから、その位置情報をいつでも確認できるようにしておいて、万が一の時は手を貸してほしい。何か起こると決まった訳ではないが、みさきが傷つくことは絶対に避けたいと思っている」

「GPSを確認するには本人の許可がいるがその辺は大丈夫なのかい?もし説得が難しいようならありさに任せてもいいがどうする?」

そうか…赤司の妻は弁護士だったな。

「みさきが渋れば頼むことになりそうだが、3日後には北海道から戻って時間がないことがネックだ」

「ならば案がある。スマホにGPSをダウンロードさせてその情報を取得するには本人の許可がいるが、うちのGPSを持たせればその許可は必要ない。彼女が北海道から戻る前にそれを渡すから、戻った時点でバッグに入れる。というのはどうだ?」

「そうだな。頼めるか?」

「もちろんだ。それにスマホを切られてしまってはGPSは機能しない。スマホ以外に1つGPSがあるのは安全策としては有効だ」

さすが赤司だな。スマホの弱点まで突いて安全策を示してくれた。


やはり頼って正解だった。

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