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最愛 【黒子のバスケ】

第8章 それぞれの場所


side火神

(急ぎの用件がある。手が空いたら何時でもいいから連絡くれ)


メッセージを入れてから3時間ほど経ってから電話が鳴った。

「ワリィな」

「なんなのだよ」

「みさきの事だ」

「何かあったのか⁉」
俺が急ぎといった事とみさきの事だと言ったことで普段は冷静な緑間の声に焦りが混じる

「まだ何かあったって訳じゃねぇんだ」

「驚かすな。そんな深刻な声でみさきの事だと言われたら何かあったと思うだろう」

さっきのみさきの電話の内容を緑間に話すと少し考えた後に口を開いた。

「本来であればさほど驚くようなことでもないが…みさきが恐怖を感じたということは何かあるのだろう。経験した者にしか分からない違和感というのか…」

「俺もそう思うから嫌な予感が拭いきれねぇ」

「桃井に言ってみさきのスマホにGPSをダウンロードさせる」

「そこまで必要か?」

「何を呑気なことを言ってるのだよ。何かあったらみさきはもう二度と心を開かなくなるだけじゃない。青峰の事ですら怖いと感じて、せっかく人を好きになれたというのにまた逆戻りしてしまうかもしれないんだぞ!」

緑間の言う通りだった。あいつが声を荒げたところなんて全くと言っていい程なかったから、その迫力に圧倒された。

「ワリィ」

「いや、俺もつい冷静を失った。電源を入れた時点でアプリも同時に起動するGPSがあるからプライベート用も仕事用もどちらにもダウンロードさせて何かあればすぐに位置を確認できるようにしておく」

「今日から北海道らしいから戻ったらすぐやるように桃井に連絡しといてくれ」

「分かったのだよ。それと赤司の警備会社に連絡を入れてそのGPS情報をいつでも取得できるようにしておく。だがこれは本人の許可が必要になる。万が一みさきとそいつが一緒にいるときに連絡が取れなくなればその時点で警備を使うことになるが、素人だけで守ろうとするよりも確実だ」

「そうだな。ただ、みさきの許可なく赤司にあの事を話すのは賛成できねぇ」

「あの事を詳しく話さなくとも友人であれば赤司は助けてくれる。あいつはそういう奴だ。赤司には俺から連絡しておくのだよ。お前は試合に集中しろ。間違ってもすっぽかしたりするなよ」

「もうやんねーよ。ワリィけど頼むわ」

「こっちのことは任せろ」

やっぱ頭がいい奴ってのは何手も先を読むんだな。
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