• テキストサイズ

最愛 【黒子のバスケ】

第8章 それぞれの場所


side青峰

初戦を無事に白星で終えることができてシーズンのスタートとしては順調といえそうだった。

PGとのタイミングのズレは俺以外にも感じてるヤツがいて、そいつが上手く話をしたらしく少しづつ改善に向かってる。
完璧とはいかねぇし、遅すぎだって思うこともあるけどそこはフォローしあってゲームを進めれば問題はねぇ。

サマーリーグを経てNBAでアクティブロースターになったばっかりの頃を思い出した。速さとテクニックに圧倒されて、らしくもなく緊張して凡ミスしてチームメイトに迷惑かけて。
それでも試合に使うと決めてくれた今の監督には今でもすげぇ感謝してる。


次の対戦相手のDVDを見終わってからスマホを開いた。

今までスマホなんてほとんど触ってなかったけど、みさきの写真を見たいがためにスマホのロックを解除する。

ネロが膝に乗ってくるから重いけどそのままにして一緒に写真を見た。

さつきに、お願いしますでしょとか言われてマジでムカついたけど、言わなきゃあいつは絶対ぇよこさねぇから言いたくもねぇおねがいしますを言って手に入れた。

一度だけ行ったみさきの家にあった座り心地のいいでかいソファで寝てるのがすげぇ可愛い。
NYで腕の中にいたのが現実じゃなかったみたいに思えてくる。

写真をスワイプするとポッキー食ってる。
みさきは横顔綺麗すぎだな…
いつもは座って綺麗に食べてるみさきが箱ごと持って立って食ってて子供みてぇ。
横から撮られてる写真はこれ一枚しかねぇ。

なのに…


ネロが突然手を出してスマホに触ったせいで“削除しました”の文字が見えた。

「おい!手ぇ出すなよ!消えちまっただろ」

これはパソコンにもまだ入れてなかったし、メッセージの方の画像を開き直そうとしても“保存期限が過ぎました”の文字

俺が大声を出したせいで膝から降りたネロが耳を倒して俺の方をちらちら見てる。
たぶんこいつなりに悪いことしたって思ってんだろうな。

しょうがねぇから許してやるか…

『来い』って言っても怒ってると思ってるのか動かねぇからしゃがんで手を出すとゆっくりこっちに来る。

『怒ってねぇから』って撫でてやると手を舐めてきたから『あいつの写真見てる時は手出すの禁止だ』って言うとまたそっぽ向かれた。

こいつ…俺に可愛がられてるって分かってやってるな。
/ 1719ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp