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最愛 【黒子のバスケ】

第8章 それぞれの場所


今更取り繕ったって余計不審に思われるだけだし、何よりあたしと黄瀬くんは本当にそういう関係じゃない。

黄瀬くんの言う通り、周りの反応で接し方を変える必要なんてない。


黄瀬君のメイクを終えてスタジオに一緒に入ると、やっぱりまだ視線が痛いけど、仕事とそれは関係ない。
どんな時でも、どんな状況でも、クライアントが納得する出来でなければいけない。


絶え間なく鳴り響くシャッター音とポーズを決める黄瀬くんだけに集中して、途中で何度かメイクを直しながら撮影した画像をチェックする。

やっぱり造形的には文句のつけようがない。
どうしたらこんなに綺麗な造りの男の人が生まれてくるのか知りたいし、お姉さんがいるって言ってたから、どんな美人さんなのか見てみたい。


今日はクリスマス向けの雑誌の撮影で、男性がもらったら嬉しいアウターやマフラーなどを特集して、黄瀬君が次々と着替えて、当然メイクもそのたびに直す。

黄瀬君は忙しいから撮影がスケジュール通りに終えられるように、それぞれの役割をこなして現場を効率よく回す為に忙しなく動いてる。







「なんかさー、全っ然黄瀬君と釣り合ってない」

「今だってずっと黄瀬君の事見てさ、自分の男アピールのつもり?ミカの事言ったのだって絶対あいつだよね」

「絶対そうでしょ。外注の分際でチクるとか何様?」


わざとあたしに聞こえるように言ってる。
今まで知らなかったけどやっぱり写真を持ち込んだのはあの日青峰君のメイクをしてた人だった。


仕事に集中しようと黄瀬君を見ていたことが気に食わないらしい。

でもあたしも仕事だからやってるだけで恋愛感情なんてない。
黄瀬君にはモデルもびっくりのセクシー美女の美緒って彼女がいるんだから、あたしと釣り合う訳もなければ釣り合いたいとも思ってない。

なんでこうも男の人が絡むと女の人は攻撃的になるのか…
マイアミでのジェシカといい、この二人といい、仕事を邪魔するならもう本当にどっか行ってもらいたい。

その後も“外注のくせに” “たかが外注” “外注なんて”ととにかくあたしが外注だとバカにしてる。

「絶対メイクの勉強なんてちゃんとしてないでしょ。だってどの美容学校の人に聞いても知らないってミカ言ってたもん。バッグも見栄張りすぎ」

BOSSからもらったバッグがまだ分不相応なんて自分でも分かってた。
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