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最愛 【黒子のバスケ】

第8章 それぞれの場所


食事を終えてパパに空港に送ってもらう。もちろんママも一緒だけどお酒のせいか今にも寝ちゃいそう。

荷物を積み込んで忘れ物がないか確認して車に乗ったらママが寝てる。

「パパ、ママ寝ちゃった」

「いいよ。空港から戻ったらパパが降ろすから」

パパの事も大好きだけどママみたいにたくさんおしゃべりしたりはしない。話すことと言えば仕事のことが多いけど今日は違った。

「みさき、好きな人いるのか?」

「うん。いる」

「どんな人だ?」

「パパ、尋問みたいで嫌なんだけど」

「あ、悪い。でもみさきが好きな人がどんな人か知っておきたい」

「青峰大輝って知ってる?」

「NBAのか?」

「うん」

「まさかそいつとか言わないよな?」

「いや、そう」

ママのことだからあたしが青峰君に送ってもらったことを言ってるのかと思ったけど言ってなかったらしい。

「なんだ、初恋なんて驚かせるなよ。テレビで見て好きになったなんて恋じゃなくてただの憧れだろ」って笑ってる。

「テレビで見たんじゃない。日本でたまたま知り合ってNYで一緒にいてロスまで送ってもらった」

驚いたのか少し沈黙してパパが口を開いた。

「俺は反対だ」
パパがあたしに対して自分を“俺”って言うときは大体怒ってる

「反対も何も付き合ってるわけじゃない。あたしの片思い」

「なら尚更だ。今のうちにやめておけ」

「…」

「付き合ってもないのに一緒にいたってことも引っかかる」

「あたしがそうしたかったからそうしたの。もう子供じゃない」

「お前、自分がどんな目にあったのか忘れたのか⁉」

「ママ起きちゃうから大声出さないで。忘れる訳ないでしょ。青峰君はあの人とは違う」

「毎回違う女といる男の何が違う?お前はそいつの何を知ってる?」

「まだ知り合ったばかりだから。でも少なくともパパよりは彼を知ってる。だからパパに言われたからってやめない」

「自分が傷つくだけだぞ」

「それでももう好きなの」


それからお互いに黙ったままでママは起きなくて気まずいまま空港に着いて荷物を降ろしてもらった。

「ここでいい。ママ寝てるから」

「よく考えろ」

「…」
考えたってあたしの気持ちが青峰君から離れるわけじゃない。何も答えずに背を向けて空港に入った。

ケンカなんてするつもりじゃなかったのに…


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