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彼と彼女の航海日誌

第4章 噴火



誘うなら早い方がいいだろう。
そう思って、シャンクスは菜月をからかうのを止めた。
あれだけくっ付いていた身体を離して、上半身を起こす。

「なぁ、菜月」
「・・・ふふ」
「ん?どうした??」

不意に菜月が笑みをこぼしたから、シャンクスはきいた。

「いえ、ごめんなさい。キッドさんも、髪が赤かったので思い出しちゃいました」

懐かしそうに、愛おしそうにそう語る菜月。
シャンクスの中で、警報が鳴り響いた。
聞いたら、後戻りはできない。
知らないふりをしろと、自分に言い聞かせるが、止まらなかった。

「そうだったのか。その”キッド”とやらの出身はどこかわかるか?」
「・・・ごめんなさい、詳しくは知らなくて。ただ、暑いのは平気みたいだったらか、もしかしたらそう言う気候で育ったのかもしれませんね」

キッドと言う名前。
赤い髪。
サウスブルー出身。
3つの特徴がそろった。
偶然だと思いたかったが、極めつけが次の言葉だった。

「あと、海賊なんですけど、泳げないみたいです。私がいた世界では、力が使えないとかで泳いでいたんですけど・・・」
「・・・・・・」
「・・・シャンクスさん?」

シャンクスは、やはり知らないふりをしておけばよかったと後悔した。

『ルーキーの女か・・・さぁ、どうしようかね』

どこか悪いことを考えてるように笑ったシャンクスが、少しだけ怖かった。
急に男の顔をしたシャンクスは、またゆっくり菜月の方へ顔を近づけた。

「あ、あの?」

焦る菜月に、シャンクスはこう言った。
気が変わった、悪く思わないでくれよ?お嬢さん、と。
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