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彼と彼女の航海日誌

第1章 捜索


海は平和。船は不穏。
キッドの苛立ちは、まさにピークを迎えようとしている。
理由は簡単なこと。
菜月の捜索が思うように進まないから。

まずは、島に到着しなければ探しようがなかった。
その島さえ、姿を見せない。
食料も物資もまだまだ余裕はある。
見つけた船さえ襲って奪えば、航海はできるのだが、菜月探しはそうはいかない。
彼女が海の上で待ってない限り、この航海すらキッドにはイライラの原因となってしまうのだから。

せめて、もう少し情報があれば。
知る方法と言えば、ユージンだろう。彼が妙な呪術を使ってくれれば、菜月の捜索だって効率よくできるというもの。

彼女をここに連れてきてくれたことには感謝するが、それならそれで、きちんとした管理をしてもらいたかった。

 「くそっ・・・」
 「キッド、落ち着け」
 「うるせぇ!」

キラーの言葉でも、気持ちは焦るばかり。
八つ当たりに、椅子を蹴飛ばした。
食堂での休憩時間。
他の船員も気が気ではない。
ここ最近のキッドの不機嫌な様子を見ていて、少し距離を置いているようだ。
下手にかまえば逆効果。
長年、キッドと共に海を渡っている彼らの対処法だった。

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