第29章 慈愛の時間(R18)
瑠璃は御殿の回廊を玄関へと急いでいた。
玄関に誰かを迎えに出るのに、こんなに心が急いて、ドキドキするのは初めてだった。
(早く会って…)
確かめなければならないコトがある。
(政宗ー)
玄関に着くと、履物を脱いで上がってくる政宗の姿が目に入った。
「政宗、おかえりなさいっ」
気忙しく近づきながら声をかける。
「迎えに来てくれたのか、ありがとうな。
身体、大丈夫か?」
口調も瞳も穏やかに、柔らかく笑って瑠璃を抱きしめる政宗。
「良かった〜〜…いつもの政宗ね」
抱き着きながら、瑠璃が安心したように、
蒼い瞳に笑いかける。
「心配してたのか」
瑠璃小さく頷いて、頬を押し付ける。
(心配するに、決まってる)
瑠璃は、政宗が牢の4人を殺して帰って来るのではないか、と心配していた。
だから、どうしても政宗が帰ってきたら、
真っ先に会って確かめたかったのだ。