第26章 弓馬競技会
観覧しているのは、側近家臣と言われる武将達全員と、君主信長。
美弥もオマケで付いてきている。
それで緊張し、震えない者はいない。
野外で一度に大勢が並んで矢を打つ事も、
いつもと勝手が違い集中できず、いつもの
実力が出せない と愚痴り渋い顔をする者、
風を読めず、矢が煽られて的をはずす者が続出する。
そんな中、瑠璃だけはいつものように、
涼しい顔で高い集中力を見せていた。
(瑠璃様はどうしてそんなにも…)
高い精神力に感嘆する三成。
(美しいぞ)
光秀は 美しいモノを愛でる視点。
「玉瑛の腕は本物だったのだな」
信長は目を見張りながらも楽しそうに、
弓を構える美しい瑠璃を見る。
「光秀、ヤツの弓の腕を知っておったか?」
「いいえ、初めて見ます」
「…貴様、拝賀の折、ヤツの素性 知っておったであろう」
「女狐でないくらいは」
「白々しいな」
「裏を斯くのが役目ですので」
面白おかしく話す君主と参謀。