第23章 政宗の小姓2
廊下で前から誰かが歩いてくる。
端により、頭を下げ、通り過ぎるのを待つ。
が、相手が立ち止まった。
「これは、伊達様の小姓殿。今日は伊達様と一緒ではないのだな」
「多忙だそうです」
頭を下げた上から声をかけられ、瑠璃はそのままの姿勢で平坦に答える。
「それは寂しいであろう」
「我らがその寂しさ、埋めてやってもよいぞ」
顔を上げてみれば、ニヤニヤといやらしい笑みで瑠璃を見る男が2人。
「その色で伊達様に取り入ったのか、
そうでないのか、我らに教えて貰おうか」
「伊達様も、とうとう男に手を付けられたか…」
御丁寧に、天を振り仰いで見せる小芝居ぶり。
顔には一切には出さないが、ウンザリの瑠璃。
いつもなら、素知らぬ顔で当たり障りなく応答して、やり過ごすところだが、今日は瑠璃も虫の居所が少し良く無かった為、つい要らぬ口を開いてしまった。