第20章 禁止令発動
部屋で待っていると、皿の乗った盆を持って政宗が入って来た。
「喰え」
「わ、揚げ餅ですね」
この時代、貴重な砂糖を使い醤油と絡めた揚げ餅。
見るだけで幸せになる。
政宗は揚げ餅を食べている瑠璃を幸せそうに見る。
「ねぇ、政宗、私そんなに痩せてる?」
思い出したように瑠璃が問う。
問われて考えれば、戦場で拾った時より幾分痩せたような気がしないでもない。
「痩せたかな」
心が痛んだ。
「政宗の所為じゃないですよ」
現代とは違う栄養事情。質も量も違う。
甘い甘いお菓子も、飲料水も無い。
色々な要因が重なったものだと思う。
「俺の所為でもあるだろ」
「どうしてですか?今回のは疲労が溜まっていただけですから。
でも…少し戻さないと……」
『抱き心地悪そうだよ』と家康に言われた事は黙っておくことにした。
「…よし!食べよう」
独り笑って餅を口に運ぶ。
相変わらず美しい所作で餅を食べる瑠璃を見ながら、政宗が口を開く。
「そーいやぁ、さっき、お前、家康のこと好きだって言ってたなぁ」
いちゃもん を吹っかけているとしか思えない言い草。
瑠璃が倒れた原因が自分にもあるとして、
『瑠璃接触禁止令』を出されていて、不貞腐れているのか、八つ当たりだった。