第1章 出会い
「ゼロ、おとなしく待ってろよ。」
みゃう。
玄関の所で行儀よく背筋を伸ばし、真っ白な猫は応えるように鳴いた。
それを見届けてから男性は太陽みたいな笑顔を一瞬見せてから静かにその扉を閉める。
完全に行ったのを見届けてから、ゼロと呼ばれたその猫はソロッとリビングに戻り、部屋の隅に作られたゼロ専用の部屋に置いてあるクッションに落ち着いた。
まだ目も見えない生まれたばかりの猫は、道端の隅の方でガタガタと震えながらその命を消しかけていた所を、たまたま通りかかった今の主に拾われた。
衰弱はしていたものの、男性の手厚い看病のお陰で事なきを得て今では回復している。
綺麗にしてみれば見事なまでの純白と言っていい程の毛並み。
因みに、メス猫なのにゼロとつけたのは、昔の大事な親友のあだ名が「ゼロ」ってゆーのと、金色の瞳がその親友の綺麗な髪の毛を思い出すって理由でゼロと着けてくれたらしい。
回りが聞けば男の子みたいと言うかもしれないが、案外ゼロもその名前を気に入っている。
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