第1章 ~ATOBE KEIGO~
着いて早々、大量の書類に目を通す
部費の予算、施設の修繕、委員会の草案など様々な内容を一手に引き受けられるのは、跡部景吾だからだろう
最後の一枚に目を通した時、ふと、眉を寄せた
「あーん?転入生だ?」
それは本日付けの転入届で、簡単なプロフィールと証明写真が貼ってある
景吾は自分が生徒会長になった時から、生徒を把握する為に必ず目を通している
おかげで、1000人は軽く超えるマンモス校にも関わらず、全ての生徒の顔と名前を暗記していた
(こんな時期に珍しい…)
写真に目を向けると淡麗な容姿と目が合った
ストレートのロングヘアにぱっちりとした瞳。世間では美人の部類に入るんだろう
「 …」
ポツリと呟き、暫く写真を眺めていたが、予鈴が聞こえたのをきっかけに席を立った
「……またうるせぇメス猫が増えやがる」
ぞんざいな呟きを漏らし、景吾は教室へと向かっていった
放課後、俺はある教室へ入っていく
「おい忍足」
「なんや、跡部やないか。どないしたん?」
「ちょっと生徒会の用がある。代わりに部員まとめといてくれ」
「別に構わんけど…珍しいなぁ?わざわざ言いにくるやなんて。そない俺に、会いたかったん?」
「そうじゃねぇ。別に用事があったんだ…てか忍足、コイツらどうにかしろ」
廊下や教室から響く黄色い声。
皆、景吾に向けられているモノだが、かくゆう忍足侑士も景吾に劣らない美形で、二人が揃うと一層向けられる熱視線は尋常じゃない