第25章 戦闘の終焉
氷の剣が結晶に変わり散る。
カカシが腕を引き抜くと、多量の血が溢れ出して、敵はゆっくりと目を閉じて、涙をこぼした。
カカシは膝をつき
そっと床に静かに寝かせた。
「……終わったか…」
周りを見渡す。血なまぐさい臭いが漂う。息をする敵はもういない。
「っ……くっ」
腹の血が止まらずに痛みが走る。しかめて、お腹をおさえた。
「花奏!!」
カカシが心配した顔で駆け寄った。でも、顔色は彼も悪い。青白かった。
「花奏……大丈夫か?」
覗き込むカカシは泣きそうな顔をしてた。抱き寄せてくれた。
「うん……カカシこそ、大丈夫?」
私より重症なのはカカシだ。
身体が崩れ落ちる。お互い疲労困憊だ。
「カカシ…!!」
カカシの倒れそうな腕を
とっさに掴んだ。
「ああ……悪い……」
支えた顔に苦痛が満ちていた。
背や足から血が滴り落ちる。
「…大丈夫?すぐに病院に……」
カカシの顔に油汗がにじむ。
体力の限界だった。
「はしに寄ろう。ね?」
ずるずると引きずる音を立てて、壁を目指した。床に尻をつけてカカシが座った。
「花奏、自分の傷口の血を止めろ。オレのことは後でいいから」
私が医療ポーチから取り出したガーゼで処置しようとすれば、カカシが首を振った。
「で、でも」
カカシの方が…。
「ほら早くしろよ。花奏の方が体力がないんだから。な?血を止めろよ」
「う、うん」
私は言われて先に自分の傷の応急処置を施した。ガーゼで強くおさえ、任服の上から包帯を巻いた。
ふと、気づく。
「カカシ、…カカシ!!」
カカシの呼吸が短くなっている。彼の手首を測った。バイタルを確認するが、私の心拍が跳ね上がる。
…カカシ…!!
脈拍が通常時より確実に落ちている。
緊急を要した。
処置する私は冷静ではいられない。ガーゼや包帯を、巻けども巻けども、背中や胸の血が止まらない。
「カカシ……」
背中に受けた傷は肺まで到達するのだ。重症どころではない。重体だ。
「花奏、あんまり心配すんな。ま、大丈夫でしょ。まだ死んでないよ」
苦笑いを浮かべるカカシが
痛々しく映った。
「…じゃあ、起こすね」
ぐったりする体を肩に担ぐと、
カカシの顔がゆがんで、大量の汗が噴き出た。