第24章 戦場
カカシは、夜中に飛んで来た伝書鳥の文を受け取り、暗部全員へ戦闘配置変更を指示した。
残党による襲撃や
敵の挟み撃ちを避けるためだ。
出動まで残り5分。
雪ノ里はもうすぐ夜が明ける。
第1次アジトを一望できる付近の山上で、カカシは一夜を明かした。
雪ノ里はあまりに広大だ。
アジトも四方八方に散らばり、くまなく潜伏先を潰して回る。気が遠くなる作業だった。
雪ノ里と名称するが、実際にはゴロツキ集団の塊と近頃は化す。13年前の木ノ葉資金援助凍結から、秩序は乱れ深い悪化をたどった。
徐々に薄暗い夜空に、東方から日がさす。壮大な雪山から垣間見る日の出は、尊くて眩い。
美しく素晴らしい展望に、
暗部一同は息をのんだ。
この絶景が数分後に
地獄絵図と化すのか……。
皮肉を頭で言い放ったカカシは、木の影からアジトを見下ろす。なんら不審な動きは見えない。
雪ノ里は静かだ。恐いほどに。嵐の前の静けさか。しんと静まりかえった。野鳥や獣の鳴き声が山中に響くのみ。
敵の忍は400弱。いや、実際はもっといるだろう…とカカシは予測する。実際、他の仲間にも、身構えるよう注意を促した。
風が優しくカカシの頬をそよぐ。銀髪はゆらゆらと揺れ、暗部服に風の隙間ができた。
昨日もそうだが、かじかむほどの寒さはない。今年は暖冬だ。木ノ葉隠れ里と、ほぼ変わらぬ気候に、カカシは安堵した。
天候だけだな。
オレらに味方したのは……。
カカシは嫌気が差した。
ーーどこかの里が加わる。
カカシは漠然と頭の片隅には置いていたが、まさか本当に実行するとは……。
3代目からの封書を読み、冷静な様相を装ったが、内心では度肝が抜かれた。