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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第13章 その後



「テンゾウ、ヤナギの遺体を運んでくれ」

カカシは近くに駆け寄りヤナギを抱き抱えた。木の枝にいたテンゾウに声をかける。


「解剖して調べますか?」


「ま、一応な。念のため調べてくれ。ヤナギのことだ。なんも出ないと思うけどね。 今日はもう遅い。解剖処理班に渡したらお前もすぐに休めよ」



「はい、了解です。 カカシ先輩」



テンゾウは軽快に動いて、カカシから受け取ったヤナギの遺体を軽く担ぎ上げ、木ノ葉隠れ里へ駆けていった。


「んー……。残りの者は、ビンゴブックの男が暗部演習場で、死にかけてるようだ。捕まえて拷問部に連れて行け。他に敵がいるかもしれないからな。洗いざらい撤退して尋問しろ」


カカシは周りを見渡して言う。
ろ班全員が集まっていた。


「終われば元の通常任務に戻るように。 よし、散!」


「は!!」

カカシが合図を送り、
瞬時に仲間はその場を離れた。



「……さてと」


カカシはため息をつき、額当てを斜めにする。濡れた髪をかきあげた。


「疲れたな……」


くるりと振り返り私を見た。
表情は暗い。暗闇の中で月明かりのみ。聞こえるのは、野生の鳥の鳴き声や風の音だけ。



ぐったり疲れた表情のカカシは、
大木に座る私に近づいてくる。

そしてゆっくり、私の前で しゃがみこんだ。

「……大丈夫か?」


指が耳に触れる。私の頬を触るカカシの手は、あたたかい。つい気持ちが安心してしまう。


「……うん、大丈夫だよ……」

私が立ち上がろうとしたら、引き止めるように、強く肩を掴まれた。


「花奏、本当に大丈夫なんだな? なにもされてないな?」

カカシはまっすぐに私の瞳を見つめる。その目は真剣だ。



「……あ、うん……大丈夫だよ。 ああ、ごめんね。帰ろっか? やだね、ビチャビャだね。早くシャワー浴びたいね……」



私は苦笑いを浮かべてそう言った。あまりにカカシが真剣な表情で言うから、私はなんだか落ち着かない。

私の返事は、カカシから戻ってこない。不思議に思ってカカシの目を見た。一瞬、カカシの目の端が光って見えた。


「……カカシ? 」

そう聞いても、カカシは黙ったままだ。 真面目な顔で、私を見ている。カカシの私に触れる手が、微かに震えていた。

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