第12章 闇 終焉の地
「カカシ……花奏ちゃんを絶対大事にしてくれよ。 それでもう……お前を許してやるから………………」
「……ああ…………」
少し離れた森林の方からから
聞こえたのは、カカシの声。
「カカシ、お前、気配の消し方下手くそだろ。バレバレだからな」
「……仕方ないでしょ、歩くのもやっとなんだよ、オレは……」
「暗部の隊長が聞いて呆れるぜ、数日はちゃんと休めよ、カカシ」
「……ああ」
ヤナギは気配に
すぐに気づいたらしい。
「花奏ちゃん、そうそう……覚えてる?五歳の時、滑り台から降りれなくなって泣いたこと」
突然昔話に私は顔が熱くなる。
「あ、あれは……! 下に野良犬がいて、怖くて……泣いてたの!」
「あれさ、超傑作だったよね。野良犬だったけど、子犬だったじゃん。 カカシと俺、ぽかんとしちゃったよ……」
「だ、だって! めちゃくちゃ恐かったんだよ、滑ろうとしたら近寄ってくるし、階段から降りようとしたら、反対側回ってくるし、誰もいないし、恐かったの!」
「……五歳といえど、忍じゃないでしょ、あのビビリ具合は……」
間髪入れずにカカシが突っ込む。
「う、うるさいな、カカシは」
「……なあ、楽しかったな、花奏……」
「うん……泣いたけどさ、気が抜けてさ、笑ってたね……」
ゲラゲラ笑っていた。私たち3人は小さな頃、とても仲良しだった。あの事件のあと、少し距離を置いていたが、互いに関係は表上は良好だった。
あの事件さえなければ、
2人は親友みたいに仲良しになっていたと思う。
それから、ヤナギの返事が聞こえなくなるまで、
昔話に花が咲いた。
ヤナギとカカシの3人で猫探しをしたこと。犬の散歩や、買い物の手伝いをしたこと。暗部の任務のこと。
知らぬ間に周りには仲間の
暗部たちの気配が集まっていた。
でも、誰も動かなかった。
最後の最後まで、
私たちは
楽しかった思い出話をしていた。
それは、ヤナギから返事が
聞こえなくなるまで続いた。