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あの日、あの時、路地裏で。

第6章 おまけ



エルヴィンの右の眉がぴくりと跳ねた。

(あの路地裏、とは"あの路地裏"のこと…だろうな)

常々噂は耳にしている。
しかも、よくよく聞いてみれば自分達が事の発端だというではないか。

であれば、今の二人の状態、というよりも今のモブリットをどうにか元に戻してやる責任が幾ばくかでもあるのは間違いない。



「では、そこであったことが原因か…
 何があった?」


「何もないよ!」



そんな訳ないだろう。

何しろ"あの"モブリットだ。
真面目がそのまま立体化したような人物。

勿論それは性格だけでなく、彼の仕事ぶりにも遺憾なく発揮されてきた。

(実に頼りになる。が)

もし、また同じことが起これば…
団長として何某かの処罰を考えねばならない。

正直、それは避けたい、というのも大いにあった。





「ハンジ、よく思い出せ」


「……あ。あれかなぁ…?」


「……」


「でも…別に…
 ちょっとしただけで…
 普通だと思うんだけどなぁ…」


「何をした?」


「ちょっとチューって」


「は?」


「ほっぺたに軽くね」


「………ハンジ、それだ…」


「何で?!」


「何で、と言われても…」


「エルヴィンだってしてるだろ?」




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