第6章 戦争
ずっと、思っていたことがある。
ヤーシュ様が中に出すのは、まあ権力者のエゴというか、気持ちがいいからそうしてるだけなんだろうなって。
それで私が孕んだら、ダメなんだろうなって。
だって彼はお偉い方なんだ。血筋が私と違うんだ。
いずれはどこかの貴族のお嬢様をお嫁に迎え、立派なお世継ぎを残さなければならないんだ。
私はそれまでのツナギというか。
まあそういうもの。
ツナギが孕んだらダメでしょう。
世間体がよろしくないし、お家騒動の元になる。
だから私はヤーシュ様のいないところで、ずっと。
堕胎の薬を飲んでいたのだ。