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ビタンズの惨劇

第6章 戦争



「ペシェ…孕め」

ザブン、とおおきな湯の波音。
盛り上がった波が床に叩きつけられ、バシャリと散った。

「孕め、ペシェ…ハァ、ボクの子を…ウッ、孕め、産め、ッ…産むんだ…!」

苦しそうな息とともに、確かにそう言った。


うむ…
産む?
私が、ヤーシュ様の子を
領主様の子を、産む?
それは、つまり
つまり


「わたし、を……妻、に…」

糸みたいにか細い声が、私の喉から絞り出された。

「ああ、ペシェ…!お前だ、お前しかいない、ハァ、く…。ボクの子種で、孕むんだ、産んでくれ!ボクと、お前の、子だ…!」

私はザバリと水音を立てて2本の腕を伸ばし、ヤーシュ様の首にしがみついた。

「ヤーシュ様……!」
「ああ、う、ペシェ…出る、出すぞ!全部、全部お前の中に入れる…ああああッ!」

ヤーシュ様の腰が大きくグラインドして、私の奥の1番奥まで押し付けてきた。
私はもう痛みも忘れ、ただただ彼にしがみついていた。

ヤーシュ様が、私の中に溢れてきた。
どくどくと、命の素が、彼の結晶が、私の中に注ぎ込まれた。
逃したくない。全部私の中に、私の中に入っておいで。

キュウと締め付けると、ヤーシュ様は整った顔を歪ませながら私の中で震えた。

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