モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第15章 金の雛鳥と弟
シュウ視点
戻ってきた修と4人で他の地区へ向かおうとした時、修がラッドの存在を思い出した。そう言えばいたんだった。探して駆除しなくては。
早速ラッド探しを始めると同時にゲートが2つ開いた。
中から出てきたのはトリオン兵ではなく、2人の人型近界民だった。
「いやはや、子供を浚うのはいささか気が重いですな」
「...これが我々の任務です、ヴィザ翁」
「「角つき」...!?」
「...!?」
修達が人型に驚く中、俺は違うことに驚きが隠せなかった。俺の目の前に信じられない事が起きている。
俺の異変に気付いたらしい太刀川さんがどうしたと話しかけるも、俺は人型の1人から目が離せない。
人型の1人、若い方の金髪の少年と目が合う。やっぱりそうだ。あの綺麗な蒼い目、俺達と同じ白い肌、母譲りの綺麗な金髪...。
どれを取ってもあの子にしか見えなかった。ずっと一緒にいた俺達が間違える筈がない。
「は...る...?」
かろうじて出た声は、自分も聞いたことが無いほどに小さな、今にも事切れてしまいそうな声だった。
他の3人ともう1人の人型は、俺が何を言っているのか理解できていないようで、ただただ事の成り行きを見ている。
「...久し振りだな、姉さん。覚えててくれたんだな」
「本当?...本当に蓮琉なの?」
「姉さんなら嘘か本当かぐらいわかるだろう?」
いつの間にか戻っていた人格のせいで口調も戻る。
僕の大切な家族の1人、僕の唯一の弟。蓮琉が戻ってきた。
トリオン体じゃなかったらボロボロと泣き崩れていただろう。
「「姉さん」ってどう言うことだ?」
「...そのままの意味です。そこにいる人型近界民は僕の弟で、元はこっちの人間なんです」
『!?』
こちら側の3人が驚きを露にする。
本当は今すぐにでも側に行って「お帰り」と言いたいが、今はそれができない。何せ蓮琉は、敵国の戦闘員としてここに来ている。目的は「金の雛鳥」と呼ばれる人物を浚う事。
誰の事かはもうわかってるが、いくら蓮琉でも手加減は出来ない。
「...こっちに来た目的、誰かを浚う為なんだよね?」
「流石姉さんだ。誰を狙っているかも、もうわかってるんじゃないか?」
「僕なんでしょ?残念だけど、蓮琉達の思惑通りになるわけにはいかない。手加減は無しだ」
雷刃を起動して構える。
勝って、蓮琉を取り戻すんだ。