モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第17章 拒絶反応と太刀川隊
玉狛へと戻り、みんながいるだろうリビングへと真っ直ぐ向かう。
「ただいま~!」
「......」
中学生の3人はまだ戻っていないようで、他は全員いる。
リビング内の空気は何故か重く、何故か蓮琉と桐絵が対立していた。
「えっと、栞。これどういう状況?」
「何かね、小南がヒュース君?蓮琉君?を明希ちゃんの弟だって信じられないらしくって、揉めてるんだよね」
栞は何度も説明したようだが「証拠がないじゃない!」と言われて信じてもらえなかったらしい。
桐絵ってば、普段は騙されやすいのに何でこういう時は信じないの?
「2人とも、少し落ち着いたらどう?」
「!明希!」
「姉さん...だが」
「落ち着いたらもう1回話をしようね。今度は喧嘩腰じゃなくて、穏やかにね」
2人をソファに座らせ、僕は蓮琉の隣に座る。他のみんなもそれぞれソファに座り、レイジさんが淹れてくれたホットミルクで一息つく。
「さて、じゃあ話をしようか。まず、この子について僕から話すよ。この子は藤咲蓮琉、16歳。僕の弟っていうのは本当だよ」
「...嘘じゃないわよね?」
「こんなことで嘘ついてどうするの。蓮琉は僕の大事な弟だよ?」
「そういうことだ。わかったか?」
「...えぇ。疑って悪かったわね」
桐絵が素直に謝る。桐絵のそういう素直な所は本当に素敵だと思うよ。
蓮琉もちゃんと許してあげていたし、この2人には仲良くなってもらえそうだなぁ。
すると蓮琉が「少し話がある」と言って僕を連れ出す。向かった場所は僕の部屋だった。
「蓮琉?どうしたの?」
「姉さん、ここに赤い痕が付いている」
蓮琉が僕の首もとに手を伸ばす。触れそうになる瞬間、何故か身体が一歩下がる。
「あ、ごめん...ちょっとびっくりしちゃ「誰にされた」...って」
蓮琉が聞いたことの無いような低い声で言葉を遮る。
「きゅ、急にどうしたの?」
「姉さんは知らないかもしれないが、その痕はキスマークだ。誰にされた!」
蓮琉が凄い剣幕で迫り、僕の肩を掴む。僕の身体は反射的に強張り、同時に恐怖心が湧いてきた。
「や、やだ...やだ!!」
「!!」
思わず身を捩って離れる。呼吸が乱れ、頭も真っ白になり、自分が何をしたのか理解が追い付かないまま蓮琉見ると、呆然とした顔で僕を見ていた。
それを見てハッと我に返る。
「ご、ごめんね。蓮琉...」