第7章 6day
心を奪われた女が、既にドフラミンゴの手に1度堕ちていたという事実に悔しさが募りどうやらそれは表情に出てしまったらしい。の瞳はどこか怯えるように揺らぐ。
「…隠していた事、怒っていますか?」
「いいや、隠している事ならおれにもいくらか有る。怒っちゃいねェよ。」
「……嫌いに、ならないで。」
絞り出すような細く震えた声。大きな瞳に滲む涙。己の下で弱々しく囁かれる言葉にハッとした。
ドフラミンゴは確かに自分が憎んでいる相手であり、最終的な目標である。そんな男に彼女もまた、傷付けられただけなのだ。を嫌いになる理由は無い。
トラファルガーはへ身を寄せ柔らかい前髪を持ち上げ額へ口付けた。その唇は眦、頬、喉元へと徐々へ下方へと滑らせながら高いリップ音を立てて口付ける。
「ロー…。」
「…ドフラミンゴはおれが1番倒してぇ…いや、倒すべき男だ。その為におれ達の船はパンクハザードへ向かっている。」
「…そう、なの…?あの…そこで話さないで…!」
トラファルガーの唇が鎖骨へ触れ、硬い歯牙が甘く突き立てられる。喉元へ触れる吐息が熱く、擽ったい。は彼の胸元を緩く押し返すが身体はビクともしなかった。
「おれは…おれの命を救ってくれた人の本懐を遂げる為に生きてきた。それが叶えば最悪命も惜しくねェと思っていたが…。」
「ん…!」
喉元へ唇が押し付けられ薄い肌がキツく吸い上げられた。ちくりとした痛みには身じろぐ。それでもトラファルガーは彼女を逃がさず何度も唇を寄せては吸い付く。
白い肌にくっきりと残る赤い痕。トラファルガーは自分の付けた所有印を満足気に指先でなぞった。
「…お前を残して死んだら兄に呪われそうだな。」
「天使は人を呪ったりしません。」
「どうだか。1度しか言わねぇぞ。よく聞け。」
「はい…?」
「お前が今まで何処で何をされたか聞くつもりは無ェ。おれと出会う前の事は全て忘れろ、。」
「はい。」
「……愛してる。」
静かに発せられる言葉には固まった。急激に顔が熱くなるのを感じる。けれど、自分も伝えたいと思った。同じ気持ちであるという事を。
「わ……私も!」
「私も、何だ?」
「あ………あい…愛し、てます…!」
航海、6日目
(…心臓に悪いです。)