第12章 サスケ君
「無理……、寒い……!」
兎に角、今いる森林の中で、雨宿り出来そうな場所を探そうと思って、辺りを見渡す。すると、雨宿り出来そうな、大きめの奥が深そうな洞窟を発見する。
「良かったぁ……!ちょっと休もう……」
走ってかけ寄り、直ぐに中へと入った。ハンカチを取り出して顔を拭く。身体は濡れすぎて気持ち悪い。
任服を着たまま上着の端を、濡れた雑巾みたいに絞る。雷はまだ鳴り止まない。雨は容赦なく降りしきり、一向に止む気配は無かった。
少しここで雨宿りをしようと、ぼうっと突っ立って、雨が上がるのを待っていた。
すると突然、
背後から鋭く光る鉄製のクナイが、喉元に静かに触れる。
動けば殺す。
無言でも意味は分かる。
音も無く、匂いも気配も無かった。だけど、それは単なる言い訳に過ぎない。
「……っ!!」
冷んやりとした鋭利なクナイが、喉に触れてから、真後ろの敵に気づくのは、やっぱり遅過ぎだと思う。
まさか敵が待ち構えているなんて、もう鼻っから頭にない。無警戒に、洞窟へと飛び込んだ、脇の甘さを悔やんだ。
ああ、情け無い……。
今日は良い事が本当に、何一つ起こらない。
はぁ……と、大きく、ため息を漏らし、奥歯を噛み締めた。