第17章 第13章の続き サソリさん
「あーー、もう! サソリさん、私のこと、もてあそんで楽しいですか」
「オレは、何もしてねえ」
「なんか、してくださいよ。干からびたらどーすんですか! 手を出してくださいよ!」
あー、バカなことを口走った。
この際、やけ酒に、ヤケクソだ。
「……おまえはまだ若いだろ」
「はーい残念でした。もう若くないんです。サソリさんが相手してくれないから、シワくちゃのおばあちゃんになりました! 」
バカ丸出し。あーあー、プライドも、なにもかも捨てて言っちゃった。もう消えてしまいたい。
「世界のババアに謝れ」
「すーみーまーせーんー!ババアさまー! って、サソリさんの方が酷いでしょ、ババアって!」
ブーブー言ってると、サソリさんの肩が震えた。
ん?サソリさんが笑ってる?
それはないか。でも、なんだか機嫌は悪くなさそうである。
「サソリさん」
「なんだ」
「好きです」
「そうか、わかった」
違うって。そんな返答
いらないから。
「一度だけでいいんです。 好きだって言ってくださいよ。ウソでもいいから。愛してるーって言ってくーだーさーい!」
冗談でもいいの。 同情でもいいの。ひと言でいいから。
サソリさんの口から、
優しい言葉を私は聞いてみたいの。
「花奏」
またフるのか、この男は。今日ぐらい優しくしてくれてもいいじゃないか。酷い男だ。意地悪だ。傀儡だなんて言っても心は人間じゃない。
つーーん、と不機嫌そうに口を尖らせて「なんですか?」と返事をした。
「そんなフラフラじゃ帰れないだろ。ここでいいな。 おまえの返事を聞いてると長いからな。行くぞ」
とサソリさんが腕を引っ張り
横に曲がる。
「はいはい、どうぞご勝手にーー」
と言って、私は建物の中へ入った。
しかし。
ここはどこだ。
受付でチェックインする。
廊下を歩く。
え?