第16章 ワールドトリガー 風間さん
居酒屋がおひらきになり、帰り道。
飲み会が終わり、立ち上がろうとしたら、よろけて風間さんに抱きついてしまった。
「ご、ごめんなさい!!」
「送る」
有無を言わさない物腰に、
わたしは風間さんに送って
もらうことになった。
今日の風間さんはいっさい酔ってない。不思議だ。悪酔いしてない。結構飲んだのに、ろれつが回ってない。なんでだろうか。
わたしは、聞いてみた。
「風間さん、そういや先週、凄い荒れてましたよね、飲み会のとき。どうしてですか?」
風間さんの、わたしの握る手が、ぎゅっと強まる。ん? あれ? なんか変なことを言った?
「太刀川と、仲良さそうに話をしていただろ」
「え……? 」
先週……、そういえば、太刀川さんの講義のレポートを手伝った。「なにか奢る」と言われてラーメンを2人で食べに行ったーーだけだ。
チョコレートは、太刀川さんには作ることを伝えていた。
風間さんに片想いしてることは知っている。太刀川さんに、大学仲間、ボーダー仲間以上の気持ちはない。
「まあ、彼とは小学校からの、長い付き合いですから」
「太刀川が、オレに言った。チョコレートを作ってくれると」
なんだと、あの野郎。
「残りモノだからね?」と言ったよ? 太刀川さんよ、紛らわしい言い方しないでもらいたい。