第8章 仲直り
「ケルスの所だけはだめ。」
痛いくらい抱きしめられる。
「痛いし…なんでよっ…」
抵抗するも、ビクともしない。
「なんでって………」
これまた急に彼は押し黙った。
「とにかくケルスの所みたいに働きたいなら、ここでもできる。」
「えっ?そうなの?」
キョトンとした顔をした私に彼は微笑みかける。
「うん。ちょうど世話係が1人いなくなったんだ。やることは人間の女性の世話係だし、君にも出来ると思う。」
思わぬところに働き口が転がっていたもんだ。
私はちょっと考えてから決意した。
「なら………そうしようかな。」
「うん!」
そして彼はまた私のことをぎゅっと抱きしめて、耳元で「やっぱりもう1回しない?」と呟いてきたので、早々に部屋を後にさせてもらったのだった。