第7章 逃走
目を固く閉じ、快感を我慢して、それでも絶頂に至りそうなその時だった。
「なにしてるのかな?」
ケルスも私も、突然横から入ってきた声に度肝を抜かれる。
「バックス様!?」
私はあらわになっていた胸を咄嗟に隠し、上体を起こす。
「これはどういうこと?」
バックスは不自然な笑顔で尋ねてくる。
「な、なんであんたがここに…。」
私はバックスに反論しようとしたが、間にケルスが割ってはいる。
「違うんです!バックス様!」
「話はチュンランから聞いてる。今日だけは許してやるから2度と俺のとこの女を匿うなよ。」
会話に入ってきたケルスをバックスはひと睨みで制してしまった。
「じゃぁとりあえず。悠子は連れて帰るから。」
「えっ!?」
私は驚きに思わず顔をあげたが、バックスの鋭い眼光に黙殺された。
そして抵抗出来るわけもなく、彼の部屋に連れて帰られたのだった。