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エラリーの彼女【名探偵コナン】

第28章 烏羽色の尻尾


秀一さんのおかげなのか、すんなり眠りについて、目覚めると翌日の早朝。
まだ外が真っ暗な内に起き上がり、東の空が僅かに白んできた頃に家を出た。

今日の天気予報は関東全域晴れ・・・紅葉を見に来た設定で動く予定のわたし達にはちょうどいい。

ジェイムズさんが車を用意してくれたらしいので、まずはそれが置いてある場所へ向かい、車を乗り換え、隣県を目指す。
ちなみに、乗り心地抜群の高級セダンだ。(眠くなったらどうしよう、と不安が過ぎる・・・)


零には“赤井秀一”が向かうと言ったものの、結局向かっているのは“沖矢昴”とわたしだ。
警察のNシステム(道路を通行する車を撮ってるカメラ)で探されると都合が悪いので、車も変えたし、零には実際の出発時刻とは違う時間を伝えた。だから問題は無いはず・・・


空が明るくなって、澄んだ青色になる頃には、窓の外に高層ビルはほとんど無くなっていた。


目的地が近付くにつれて、周りの建物の数はみるみる少なくなり、木や田畑だらけになってきて。赤や茶色に色付く山を助手席の窓越しに眺めながら、腕を組み、大きく息を吐く。

これがデートなら楽しかったのかもしれないけど、生憎今日は朝から甘い空気とは無縁だ。

でも、もう少しで宗介さんに会えるのだ。徐々に気が早る。





「かおり、アレじゃないか」

「あ・・・ぽいですね」


宗介さんのいると思われる建物が見えた。しかし曲がりくねった山道のせいですぐに木に隠れて見えなくなり。


ぐねぐねとカーブが何度も続き、ようやく目的の所まで来て、一度そのまま前を通り過ぎる。


・・・たしかに異様な古い建物。住宅?施設?看板も何も見当たらないし地図上にも表示は無い。


少し先の所に車を停めて、とりあえず朝のうちに買ってきたパンを秀一さんと食べながら、作戦の確認だ。


「ほんと、なーんにもない所ですね」

「だからいいんだ・・・予定通りいくぞ」

「ちょっと恥ずかしいですけどね・・・」

「それ位でいい。堂々としている方が不自然に写る」


ドライブ中に物凄くトイレに行きたくなったが、近くには何も見当たらない為、ここでさせてもらえないか、と正面から頼み、乗り込むつもりなのだ。
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