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エラリーの彼女【名探偵コナン】

第9章 今夜の予定は?


数時間後。
客も帰り、零と二人きりになり、片付けも終わり、閉店。二人で店を出るのかと思いきや。


「組織の見張りがついてたら厄介だから、一旦走って確認してくる。ここで少し待ってて」

「そこまでする必要ある?」

「かおりさんと必要以上に仲良くしているのを組織には知られたくないからな」

「大変だねー」

「もう慣れたよ」


数分後、彼の運転する車が現れ。店を出て、助手席に乗り込んだ。


「どこに行くの?」

「・・・公安御用達の店だ」

「なにそれ・・・行ってみたい」

「だろ?」


東京の地理は未だサッパリなので、車がどこに向かったのかは検討もつかないが、東都タワーからはそれ程離れていない所のようだ。

看板も何も無い、和風の塀に囲まれた中に車が入る。中には二階建ての瓦屋根の建物。ここで食事をするんなら、もしかして料亭?

車を降り、零は慣れた感じでその建物の玄関の引き戸を開ける。


「お久しぶりです、降谷さん。どうぞお入りください」


着物姿の女性に一礼され、建物の中へ入る。


「部屋はあっちでいいのかな」

「はい。すぐにお食事にされますか?」

「・・・かおりさん、お腹空いてる?」

「ぼちぼち・・・かな」

「じゃあ準備してもらおうかな」

「かしこまりました」


やたらと綺麗な内装の廊下を、零の後ろについて歩く。
格子戸の前で彼が止まったのでわたしも足を止めた。


「ここが公安御用達なのは、他の客と一切顔を合わせずに済むからなんだ。警察や政府の高官が密談する為に作ったような店だ」

「へえ・・・」


戸を開けると玄関のようなスペースがあり、その奥の襖を開けると広々とした和室があって。
畳の良い香りがする。旅館にでも来たような感じだ。

二人で食事するには広すぎる部屋で暫し寛ぐ。


「ここは口の硬い店だから、僕がかおりさんを連れてきたことは誰にも知られないし、外ではできない話も存分にできる」

「あの、零って偉い人なの?」

「・・・日本中の警察官に指示を出せる立場ではあるかな」

「やっぱりー・・・」

「だからかおりさんがいいんだ」

「わたし?」

「昨日も話したけど。僕の正体を知りながら、対等に僕と接してくれるのはかおりさんだけだから。僕だって立場を忘れて過ごしたいときもある」
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