第1章 IF:【冬春】エース救済・主人公生存
マルコはエースを追おうとしたが、ルフィを逃すので精一杯だった。なんとかルフィをジンベエに預け、急いでエースの後を追う。
赤犬からの猛追を避けるエースは案外早く見つかった。何やら人を抱えている。
「エース!!てめぇ何やってんだよい!!?」
「悪いマルコ!援護頼む!」
「は、どういう」
「姉ちゃんなんだ!!」
よくみたらエースの抱えている人物は女。タイミングよくエースとルフィを突風で飛ばした『青剣の』、新世界でも有名な女海兵だ。それが姉??エースの?
その後海軍からの猛追をなんとか退け、躱し、モビーへと無事戻って来た白ひげ海賊団はマリンフォードから出航した。エースの奪還は成功した。沢山の犠牲を払って。
エースはを抱えたまま船医の元へ走る。腕の中の人物はどんどん呼吸が浅くなっていく。確かめなくちゃならないことがある。話したいこと、聞きたいことが沢山ある。死なせるわけにはいかなかった。
「ドクター!!頼む!この人を助けてくれ!!」
船医の近くで治療されたもの、それに付き従うもの、皆がエースの腕の中の人物へと注目した。
赤犬との交戦でひどい火傷を負っているが、その人物が海兵だと一目でわかる。
「海兵じゃねぇか!しかも青剣!」
「なんでこの船に乗ってやがる!?」
「敵だぞエース!わかってんのか!!」
「何人の家族がこいつらにやられたと…」
「エース」
白ひげの低く、威厳のある声で船員たちの怒鳴り声も一瞬で止む。身体中に包帯を巻かれながらもその風格は一切衰えることを知らない。
「わけを話せ」
白ひげの言葉に拳を握りしめるエース。
ルフィについては散々船の連中に自慢して来た。俺の可愛い義弟。だが、姉については一切触れてこなかった。恨んでいた、幼い頃突然己を突き放した姉を。己を独りぼっちにした姉を。なのに、命懸けで俺を守ろうとする姉を、見殺しになんてできなかった。
「血の繋がった実の姉なんだ。言ったことなかったけど…俺を、あの戦場から命懸けで逃がそうとしてくれた…!お願いします…この人を助けてください…!!」
エースはを床にそっと寝かせ、膝をつき両手をつき、頭が床に食い込むほど下げる。家族たちに助けに来てもらった身で、厚かましすぎるにも程がある願いだ。