出水と太刀川さんと風間さんに挟まれる話。【ワートリ】
第6章 第6話
あれから何日か経った。
俺の謹慎は解除され(米屋も)、今日は月曜日。
謹慎明けの学校だ。
先週は謹慎で学校がなくなってはしゃいだり暇すぎて退屈したりしたので、今日はきっと学校に行くのにはしゃぐだろうと思っていたけど。
「………はあ」
そんなわけが無かった。
あれから風間さんはおろか、米屋とすら連絡を取っていなかった。
学校では米屋と顔を合わせなければならない。
避けて通れない事実に俺は柄にもなく落ち込んでいた。
「なぁーにしけたツラしてんだ青少年。一週間ぶりの学校だろうが。張り切って行って来い」
寝起きの太刀川さんが肩に手を置いた。
結局あの後、太刀川さんは日向に会いに行ったそうだ。
何を話したのかは知らない。
あの後俺は部屋から出ずそのまま寝た。
それからというもの誰ともまともに話をする気になれず、残りの謹慎期間をボーッとすることで消費していった。
俺のことを察したのかはわからんけど、太刀川さんも日向のことに関しては話しかけてこなかった。
それ以外のネタでやたら話しかけてきたけど。
「…行ってきます」
靴をしっかりと履き、重い足で玄関を踏み出した。
「いってらっさ〜い」
クソ、太刀川さんに見送られるのってなんか嫌だな。
日向に会いに行くつもりは今更なかった。
太刀川さんと米屋と話しているとき、俺は自分で「向こうが会いたくないかもしれない」と言ったが、その時は言葉の綾で言ってしまっただけで、本当は思ってはいなかった。
後になって考えてみればその可能性は大いにある。
だったらもう会わない方がいい。
俺がわざわざあの風間さんの制止を振り切ってまですることはない。
この切なくて胸が締め付けられるような思いも、時間が経てば忘れるに決まってる。
事実、事故の翌日よりはマシになった。
このままいけば俺は調子を取り戻すし、いつもの平穏な日々に帰る。
米屋とだって、くだらないことで笑えるようになる。
俺はそう心に決めた。
…ていうか、なんで俺はこんな些細なことで考え込んでいるんだ。
今まで悩んだことなんてないに等しかったのに。
…これが成長、というやつなのだろうか。
俺は適当に理由を当てはめ、自分を誤魔化した。
あと後その誤魔化しに後悔することも知らずに…。