第3章 焦り
キサラや街に住む他の住人が攫われたと気付いたその頃のヴェルカント街では、ヴァンパイアハンター達が緊急会議をギルドで開いていた。
ハンター1:(このままではまた襲撃されかねないぞっ!!
)
ハンター2:(先手を打ちましょう?!そうでもしなければ、いつか家族が殺されてしまいます!)
ハンター3:「ギルド長。何故、お黙りになられているのです?何か言ってはどうなのですか!」
一言も発さず、目を閉じてハンター達の罵声を浴びながらも動じることもなかったギルド長と呼ばれた一人の中年の男性がそこには居た。
中年男性の隣に座る容姿端麗な青年は、事の成り行きを心配そうに見つめていたが、いよいよ耐えられなくなり、声を掛けようとしたその時だった。
「静まり給え」
大きな声ではないはずだったが、重みのある低い声が響いた。
その声にハンター一同は一瞬にして静まり返り、声の主に視線が集まる。
静かになったところで、声を発した主は「ロイゼン」と声を掛けた。
「はい。父上。」