第1章 その死神、依頼
次の日────
「ふぁ~」
あくびをしながら出社すると、同じく眠そうな顔をしたグレルと目が合った。
「おはよう、ユキ。眠そうね。」
「グレルもねー」
軽口を叩きながらデスサイズを手に取り、下界へと向かう。
「ロナルドは?」
「あとで合流するらしいわヨ。」
「ふーん。」
「さぁ、午前中の仕事さっさとやっちゃいましョ。」
「そうだね。」
昨日ウィルから渡された資料には、悪魔は毎週金曜の夜中に、ある悪魔召喚の儀式の会場に現れ、そこで魂を食らうという情報が載っていた。
今日は金曜日、ちょうどその悪魔が現れるであろう日だ。
「ほら見て、今日の死亡者リスト。一晩でこんなにまとまって死ぬのは滅多にないワ。どうやら、今夜悪魔が現れるのは間違いなさそうネ。」
そこには、様々な年齢の男女の名前がズラっと書かれていた。
近頃貴族の間で悪魔などの召喚の儀式が行われていると聞いたが、恐らくそれだろう。
「まったく...今夜は忙しくなるわネ。」
「ほんと...早く帰って寝たいのになぁ...」
「そうネ。お肌にも悪いし...悪魔なんて、さっさと片付けちゃいましョ。」
「そうだね。じゃあ、今日の回収作業に行こうか。」
「ええ。」
さぁ仕事仕事、と思ったその時
「っ...!?」
ふと視線を感じて、バッと上を見る。
「どうしたのヨ?」
「いや、今なんか見られてた気がして...」
「誰もいないじゃないの。」
「そう...だよね。」
私の気のせいかな、と思いつつも、さっき感じた視線がとても冷たく、冷酷な感じがしたのがどうにも気にかかる。
「ほら、置いて行っちゃうわヨ。」
「あ、うん。今行く。」
グレルに促され、私はその気がかりを無理やり頭から追い出した。
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??「さぁおいで...死神くんたち。君たちの魂は......一体どんな味がするんだろうね?」
2人を上空から見ていた怪しげな黒い影は、ニヤリと笑いを浮かべ、その場を後にした。